手を添えること。

芝居が役に立つ?
今日も某i市の某病院に演劇講座をやってきました。
講座と言っても台本を読み合う程度ですが、
これがなかなか楽しいのです。
その病院はこのブログでも書いてきた精神病院。
現代、、、だけってわけでもないけど心が病んでしまう人は
沢山います。
こんなに複雑な社会ですから「心が風邪をひく」こともある。

ひょんな事から引き受けることになった講座です。
最初は「患者さん(とは言っても通院患者さんです)に
芝居なんて?」と思いましたが、戯曲を声に出して読む。
ひょっとしたら「声を出す」この部分だけでも、
成立するかもしれないと、、、飛び込んでの教室です。


こんな事をやりました。と周りに話していたらいたく感動されました。その後に「演劇ホスピタル」という分野がある事を教えられました。
なんと、イギリス、アメリカ、韓国などでは、
演劇を使い「治療」や「リハビリ」をしているという事です。
最近では「笑う。または、笑い」という事は健康に良いと叫ばれます。
また芝居をするには「体を解放」しなければなりません。
そして声を「発する」わけです。
これが心や体に「良い」と言うわけです。


とは言っても相手は患者さんです。
必要以上の刺激を与えてはいけません。
選ぶ台本は難しいモノは避けて軽いタッチのものを
持っていき、みんなで「笑える」台本を持ち込み
みんなで読み回します。
みんなで読み回し「笑い」が起こります。
するとみんなが笑顔になります。
これが良いのではないでしょうか?

自分のやってきた芝居が少しでも、
本当にホンの少しでも社会の・人の役にたつことが
出来る。それは大発見でした。


月1回の教室です。
薬の影響で呂律が回らない人もいます。
心が弱い人もいます。
焦点が合っていない人もいます。
しかしそれなりに僕も「言葉を選んで」ダメをだします。
素直に褒めたたえます。
皆さんは僕を受け入れて、そして悩んで工夫します。


しかし先月、とある患者さんが講座中に、
意味不明な言葉を発し出しました。
「死」という言葉を小さく繰り返し言う。
それは突然にやってきました。
一瞬、僕の心が縮み上がりました。
これが現実です。
慣れっこのスタッフはその人を他の場所に
移してくれました。
「季節の変わり目は・・・」
今日もその人は来てくれました。
先月の事もあるので、
コントの台本を僕が相手をして一緒に読みました。
たった5分ほどのコントの台本でしたが、
読み終わった後は何故かもの凄く疲れました。
でもその人は「楽しかった」と言っていました。

大袈裟な事は言いませんが、
少しでも手を添えてあげればと思いました。

残念ながらこの教室は僕の都合で6月で終了です。
どんなに科学が発達しても人間の体はまだ解明されていないことだらけです。

前を見つめることも大切ですが、ふと足元を見ると意外にも
解明方法が転がっているかもしれませんね。
そんな事をフッと感じました。