鐘ならず

昨年末に紅白歌合戦を堪能したあと、
恒例の「ゆく年来る年」が始まった。

小生が子どもの頃は紅白歌合戦が終わった後は
NHKのみならず民放も一斉に「ゆく年来る年」を放送していた。
協定が結ばれていたのか?
民放が手を抜いていたのか?
そう言う時代だったのか?

民放は独自の番組を放送するようになり
「ゆく年来る年」はNHKのみの放送となった。
(考えてみれば当たり前の話なのだが)

昨年はチョード派手で盛り上がった終わり方をした合戦。
一転して除夜の鐘がテレビから聞こえてくる。

「ハッ!」となり急いで窓を開ける。
某N市のM区のハイツに住む。
窓を開けると裏手には高級住宅地とまではいかなくても
一軒家が建ち並ぶ景色が見える。

左手に見える小高い丘の上には寺がある。
どうやらその昔はそこにはお城が建っていたみたいだ。
城跡に寺が建てられる事はよくある。

地理的にも寺をぐるりと道路が走ってる。

歴史的には重要でないかも知れないが。
柴田勝家(あっ、わかるね)の生まれたお城がある。
そこを守っていた出城だったと思われる。

跡地には立派な寺が建っている。
当然、除夜の鐘を鳴らして・・・と思ったら
なんと静かな事。

そう言えば去年もならしてなかった(苦笑)

寺は灯りもついてなくて真っ暗。
月明かりに照らされた本道が見えるのみ。

この辺は住宅街。
深夜に除夜の鐘なんては「騒音」扱いされるのだろう。
もしくは突くお坊さんがいないとか。

いずれにせよ。
ここ数年は除夜の鐘は聞いた事が無い。

僕の子どもの頃は
テレビからだけではなくて。

実際に窓を開けたら除夜の鐘は聞こえた。
どこに住んでいても、日本は聞こえたのではないだろうか。

子どものころはなんにも感じなかったが。
50も過ぎると除夜の鐘も良いもんだと思う。

ワビもサビもへったくれもなくなった世の中に。
これから何を感じて生きていけば良いのだろうか。

せめて日本の土の上に住んでる人間を豊かな気持ちにさせて欲しい。