うだつ

mabikitei2008-12-24

撮影の2日目はうだつと和紙の街、美濃での撮影でした。
小生の入り時間は12時に梅山の駅。
ところが12時前後に梅山の駅に着く電車がない!
かろうじて12時10分着があったのだが、
集合時間に小生ごときが遅れるわけにはいかない!
で12時前に着く電車はなんと10時30分。。。
こりゃあ仕方がないので、駅周辺の喫茶店にでも入って
時間を潰す事に決め、早めに家を出た。
ところがである。
乗り換えを三回をして辿り着いた集合場所の駅の周辺には何もない。
尤も長良川鉄道の梅山駅はのどかな場所にあり無人駅であるため、
駅に売店も存在せず、さらに見渡しても自販機すらない。
せめて自販機があれば駅のホームのイスに座って待つことも出来た。


 随分前の話だが。
 実は以前にこの美濃市で芝居をしたことがある。
 買い取り公演だったので、小生は事前の打ち合わせのために美濃市に来た事がある。
 行きは途中まで職員さんに迎えに来てもらった。
 そして帰りは近くの駅を教えてもらい、駅まで歩いて帰った記憶がある。

 

その梅山駅に降りた時に小生は驚いたのだ。
と言うのも、あの時、帰るときに乗った駅だったからだ。
「あっ、見覚えあるこの景色!あの時の!」
小生自身がすっかり忘れていた記憶が蘇ってくる、
そう〜あの時の公演も実に大変だった事を。



 集合時間まで1時間30分もある。そこで折角なので「うだつ」の街を
ブラブラと歩くことにした。
 この観光のために整備された町並みは、落ち着いてホッとする空気が
流れている。見ようによってはただ古い家が建ち並んでいるだけなのだが、
高山に似た感じがあり、さしずめ小高山と言っても良いかも知れない。
「へえ〜こんな素敵な町だったんだあ」と思いつつ、
当時は乗り打ち公演をするだけだったので、町も観ずに慌ただしく行って
帰って来たことに少し後悔をした気分になった。
 どうせならと思い、当時公演をした文化会館を尋ねることにした。
 ひょっとしたらもう壊されているかも?なんて思っていたら
無事に建っていたので安心をした。中を覗けば暗くて何も公演をしていない
のがわかった。開いているだろうか?と思い自動ドアの前に立ったら、
開いたので、勝手に中に入っていった。職員さんもいる様子だったが、
気がついてないみたいだ。折角、来たのでついでにトイレを借りて、
早々に後にした。
 さてこの段階でまだ集合場所まで1時間はたっぷりとあった。
 このまま引き続き「うだつ」の町並みを見るのも良い。
 どこか喫茶店に入って時間を潰すのも良い。
 時間がある小生に選択肢は沢山あったのだ。
 そこでタイムテーブルを引っ張り出した小生は、今、撮影がどこで行われて
いるのかを調べてみた。
 すると今いる文化会館からさほど離れていないところで撮影をしているみたいだ。
 町の地図を見てみるとさほど遠くはない。歩いて30分ってところである。
もし仮に撮影が移動してたとして、その後駅に戻るにしても1時間以内で済みそうだ。


 そこで小生はまたもやブラブラと撮影が行われているであろう、川岸まで歩き出した。
 文化会館の裏手には小倉城があり山の麓はちょっとした散歩コースになっているみたいだった。
至る所に道しるべの看板があり、観光客にもわかりやすいようになっていた。
 やがてグルリと小倉城がそびえ立つ山をまわると目の前に長良川が見えた。
鉄で出来た日本最古の吊り橋も見える絶景に感動を抱く。
 

 「確かこの辺りで撮影をしているのでは?」と思い暫く歩くと川岸に人だかりが見える。
更に近寄ると先日お世話になったスタッフの顔が見えた。
「いや〜歩いて来ちゃいました!」と声をかけると「助かりました」の返事がきた。
どうやら撮影が遅れてて小生を迎えに行く段取りが出来てなかったみたいだ(笑)


 この人集りは?
浅見光彦」自身にもファンがあり、話を聞けばHP上で撮影場所(一部のみ)が公開されているみたいだ。
撮影現場には200人を越す人が撮影を見学していた。
午前中の撮影も終わり、浅見役の中村俊介さんは大勢のファンを引き連れて目の前にある道の駅に昼食をとりに行った。
後で盗み聞きした、、、いや聞こえてきたのだが、どうやらそこで記念撮影をしていたみたいだ。
「みたいだ」というのは帰りの電車の中で、二人のご婦人が斜め前の席に座った。
そのご婦人達はどうやらあの川岸に集まって人集りの中にいたみたいだ。
片一方のご婦人が、もう片一方のご婦人に口泡を飛ばす勢いで「浅見光彦」を熱く語っていた。
やれ広島の時はこんなに人が集まらなかったとか、
やれシリーズは全部観ているとか、
やれ中村俊介さんは格好いいとか、
その漏れてくる会話の中で記念撮影の事があがったのだった。
この話にはオチがある。
この二人の漏れてくる話でわかったのだが、この二人は見ず知らずの初めて会った二人だったのだ。
浅見光彦」で意気投合するこのご婦人に驚いた。
シリーズ本の持つ魔力であろうか、二人ともご自分の家族構成までペラペラとしゃべっている(笑)

 ちなみに小生にもオチがある。
 小生の出番はさらに山奥へと入った民家での撮影だった。
 午後に入り、どなたもお茶が飲みたくなる時間にようやく出番が来た。
助監督さんに「お待たせしました」と言われるのが恥ずかしい役どころ。
「はい、わかりました。ありがとうございます。」と丁寧に返事をして、カメラの前に立った。
監督さんが役者それぞれに立ち位置や演出を付けている。
そのシーンの登場人物は5人なのだが、いくら待っても小生の役名は呼ばれず立ち位置すら言われない。
「あれ?」なんて思いながら適当に入って立ってみた。
監督からの指示もなく、カメラさんからの指示もなく、リハが始まり、あっという間に本番が終わった。
小道具を返し、衣裳を脱ぎ、監督やスタッフや他の役者さんにご挨拶をしてまわった。
中村俊介さんは相変わらず好青年だった。こんな二枚目が俳優をしているのだ!
やはり俳優は二枚目がやるべきだろう!小生とは足の長さが違う!
足の長いヤツが俳優をやるべきだろう!
笑ったときにきらりと光る白い歯に、、、うっとりとする(笑)
これからも是非活躍し続けてもらいたいですなあ。



ここで2日間に渡る撮影が終わった。
帰りも電車に揺られて帰る。
最初は学生達に囲まれて乗っていた車両も、一駅ごとに顔ぶれが変わる。
名古屋に着く頃には疲れたサラーマンやOL達に囲まれる。
不況の時代。
来年はどんな状況になるのだろう。
我が身のことも心配しながら家路につく小生であった。