痙攣

目の下の筋肉の痙攣が続いている。
単なる疲れであろう。
さて今日から本番が始まった。
演出の仕事は役者の時以上に神経を使うものだ。
舞台の不出来がもろに演出家にくるからだ。
役者の時は自分の役の事だけ考えていればいいのだが、
演出となるとそうはいかない。
なにせ額縁全部を見ないといけないのだ。
しかも細部に渡ってである。
そして舞台の出来が良ければ役者が褒められる。
しかし出来が悪ければ演出のせいでもある。
これが痛い。
厳しい先輩たちの目から見れば小生はまだヒヨッコであろう。

楽屋では出番を待つ女優がチョー緊張して口数が少ないみたいだ。
こっちは心配で心配で胃が痛くなってきた。
しかも朝からこれまた神経性の下痢気味だ。
そんな事とはつゆ知らず昼の舞台はメロメロのボロボロの出来だった。
怒りをグッと堪えてダメを出すのだが、言うことはいつも同じ。
稽古から何度同じダメを出しているのだろう自分は、、、と思った。


 ところがうって変わっての夜の本番の出来は良かった。
 昼間とメンバーが一部変わったのだが、
やはり安心して観ていられた。
ようやく舞台も初日を迎えられたものだ。
でもだからと言って安心はできない。
明日は明日で気を引き締めなければいけない。
戦いはまだまだ続くのである。
痙攣を繰り返しながら。