耳鼻咽喉科より愛を込めて

妻がダウンした。一週間前から体の不調を訴えていた妻。
風邪かと思っていたが、目眩や吐き気がひどく医者で診察を受けたら自律神経失調症と云われた。
しかし念の為にと耳鼻咽喉科を紹介してくれた。
「ひょっとしてメニエール症候群では?」と僕が云う。
「なにそれ?」と妻が答える。
でも本当にその病気だったら大変だ・・・。でも「天井がグルグル回ってる」という妻の症状を見てると?
早速、耳鼻咽喉科に連れて行きました。
朝の9時前に到着したのに、やや広い待合室にはもう10人を超える者患者さんがいるではないですか。
しかも大半がご年配の女性。「あれ、ここは接骨院?」なんて思えるほどの患者さんの顔ぶれたち。
妻はヨレヨレとしながら受付を済ませ僕の横に座ります。
回診まで後10分、待合室もざわつき始めました。
斜め後ろに座ってるご年配の女性2人は何やらヒソヒソ話を始めます。
「それが息子さんの名義になってたんだと」「あっそうなの?」
話の内容はどうやら他人の土地の話。延々と他人の土地の価値の話を続けるご婦人たち。
そこへ・・・入り口からタイプライターを持って怪しげな男性が入ってくる。
男性は待合室の隅っこに座りタイプライターを打ち始める。待合室は患者のヒソヒソ話の声、
テレビの音、そしてタイプライターから出る機械的なパチパチの音が響く。
変じゃない?でも誰もその男性に声を掛けない。もちろん受付のお姉さんも!
どうやらこの光景は毎日のように行われているみたいだ。
数人の患者と妻が呼ばれて診察室の中に入っていった。
待合室ではタイプライターの男性と2人の女性と僕が残された。
僕は関わりを持ちたくないのでひたすら帽子を目深にかぶり寝たふりをして距離を置いた。
ところが一人の女性が退屈だったのか男性に声を掛けた。そのとたん今まで黙々と打っていた男性は
人が変わったみたいに饒舌になった。ちょった声を掛けたばかりにその女性は、男性が昨日の晩はどこでタイプライターを打っていたのか、タイプを打つ紙はどこで手に入れるのか、日頃自分はどんなボランティアをしているのか、
女性にしゃべらせる事なく淀みなくしゃべっていく。
女性はとうとう耐えきれなくなり「お名前を呼ばれてないのですか?」と聞いた。
男性は「呼ばれました」
お〜ようやくこれで男性の話を聞かなくて済むね・・・!
ところが!
「でもいいの。呼ばれたってまた中でしばらく待つんだから」と云って関せず、また話出しました。
受付のお姉さんたちの顔を見ると「あ〜ぁ、可哀想に、今日もまた新しい犠牲者が」と云っているように見えた。


 ところで妻ですか?
 結局ここでもはっきりと病状は分からず「疑いあり」との診断をいただきました。
まあ〜もう少し様子を見ましょう・・・との事。
健康が一番だね。