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1000回を演じる博士を三人選び出す。
稽古を重ねていった結果、選び出されたのが平野・丹羽・末吉の3人でした。これでようやく博士を誰が演じるのかが決まりました。残りの講演会は他の小田・小川・梶原に演じてもらい、そして超VIPの時に天野博士という形になりました。柾木博士はやはり体調が心配で無理ですとの事でしたが、演出家が声を大変に気に入られて「是非、映像の博士をお願いしたい」との希望により声のみの出演となりました。
さあ〜これを受けて2回目の記者発表会を2月28日にまた愛知県館で行う事になります。
今度はテレビ局や新聞社も大勢集まっていただいた中で1000回講演を演じる役者の紹介となりました。
ところが、またまた演出家の方から突拍子もない案があがります。「3人はふんどし姿になって記者会見に挑もう!」と言いだしたのです。その時は「何を考えとるんだこいつは!」と思いましたね。「役者だぞ〜俺たちは!なんでふんどし姿なんだ!お笑いタレントじゃないんだぞ!」しかしまたまた全く聞いてもらえませんでした〜笑〜。
さて記者会見です。ふんどし姿の3人は滝の裏から出て水にあたり「やりとげるぞ〜!」など、それぞれの思いを叫びます。
「なんちゅう記者会見だろう」と思いましたね。ふんどし姿だし、しかも水に打たれなければいけなし、終わった後の3人は寒さでブルブルと震えていました。僕は「これは間違って報道されたら不味いなあ」と思いましたよ。案の定、テレビの女子アナウンサーは最後に「ず〜とふんどしを着けてやるのでしょうか?大変ですね?」と最後に閉めていました。
(そんなはずはねえだろう〜!)「お願いです・・・この報道を見た方は早く忘れてください!」と思いましたよ〜笑〜。

 一人1000回演じる。

 なぜ1000回なのか?実はこれには理由がありました。ただたんに1500回案がポシャッたから出てきたものでもありませ。それは「千日回峰」というものです。比叡山天台宗の修行僧が行う荒行で千日間、山の峰々を歩くんだそうです。1日約40キロ、260カ所におよぶ礼拝所を巡る修行なんだそうですが、この荒行の凄いところは“一度始めたら途中で止める事は許されない、続行不可能になったら、自ら命を絶つ”という厳しい不文律があるそうです(昔の話ですので今は「命を絶つ」なんてことは無いと思いますが・・・わかりません〜笑〜)。つまり最後までやり遂げろという事です。そして役者には「台詞百編」なんて言葉があります。同じ台詞を100回言えば何かを感じて変わってくるということでしょうかねぇ。この場合は同じ台詞を1000回言い続けると何が変わるのか?そして見てみたい、感じてみたい、お客様にも伝えて欲しい。そのために1000回最後まで演じきってもらいたい。そう言う深い願いもありました。

だから「俺たちは1000回演じ抜くぞ〜!」という気持ちをふんどし姿にさせて見せたかったのでしょうか?

 しかしちょっと滑稽でした。。。3人の役者は本当にご苦労さまです。

さて3月に入り、妖精さんたちと一緒に愛知県館で毎日のように舞台稽古が入ります。
この頃はとても寒くてね、客席前方に大きな暖房器具が入れてあり、何かって言うと側に寄ってみんな暖まっていました。
そんな状態の中で機構のチェックをしながら何回も講演会の稽古を続けて行きます。
ところが演出の都合上どうしても介添えをしなければいけない箇所が出てきました。
それは幕を捲ったりとか、扉の開閉とか、松明を受け取ったりなどですね・・・。誰もやらないので、出番の少ない博士達が手助けをするようになり始めました。この時に僕は舞台監督に「他にスタッフがいるのならその人にお願い出来ませんか?博士で来ているのになぜ裏のスタッフをやらなければいけないんですか!考えてください!」と苦言を入れたのですが「人がいない」との理由で仕方がなく残りの博士が手伝う事になりました。結局、小田・小川・梶原くんたちは毎日のように来て、裏を手伝って、自分の出番の時に博士に着替えて、そしてまた裏のスタッフに回るという役目になってしまいました。彼たちには申し訳ないと思いましたよ。しかし・・・3人がいてくれたから本当に助かりましたし心強かったです。

この3人は表と裏を入れると1000回講演に達しているかも知れませんね。

ほんとうにほんとうにお疲れ様でした。。。


つづくぅ〜。