さて代理店側から打診の打診(?)のような感じで連絡がありました。
やはり目立つ事(企画)をやろう!
そこで「1500回講演する役者を一人作りたいとの案があがりました。どう思いますか?」
これを聞いたときには「ん〜この講演会はどこに向かって進んでいるのだろう?」と感じましたね。
ところが「1500回を演じる役者は東京から連れてきてもいいですか?」と言われた時に内心は「ラッキー!」と「ガッカリ」と複雑な気持ちになりました。
 劇座で博士を演じることになっていたのに・・・何も東京から役者を連れて来なくてもいいじゃないか!という気持ちです。この地方の仕事(テレビなど)では主役は必ず東京や大阪のタレントさんや役者を呼んできます。そして僕たちに与えられるのは脇の脇の役ぐらいです。そりゃあ〜テレビの主役で出してもらっても視聴率とかをとれるのかと言われると無理だろうなあとも思いますが、しかし、地方の大根役者としては日頃の悔しさをここでも味わらなければいけないのかあ〜と思うと情けなくなりました。そして演出家を納得させられない言葉にならない気持ちにも襲われちゃったのです。
でもそれと一緒に「まだ少なくとも残りは劇座が担当すればいいんだな」・・・という気持ちもありました。仕方がないかもと思い「あ〜そうですか」と生返事を返しました。ところが代理店側から「それで、ご相談は〜その役者の面倒を劇座でみれるかどうかです?」と言われたのです。つまり出演料、住まい、食事、足を全部面倒見て欲しいと言ってきたのです。「何故、劇座が面倒を見なければいけないのですか?こちらから要望を出したわけでじゃないのに!そっちで勝手に決めないでください!」「だから相談してるんです」・・・勝手ですが裏にはなにあると感じましたよ!
流石にこの内容は自分では判断が出来ず、劇団に持ち帰り座長の判断を仰ぎました。
そりゃあ座長も困りますわね・・・。
もうこれ以上はもうムリかもしれない・・・そうだ最初から万博の仕事なんて来なかったんだ・・・そう思う事にしました。でも口惜しいので「そんなに1500回講演という目玉を作りたいのですか?じゃあ東京から連れて来なくてもいい。それこそ劇座の役者にやらしてください。劇座にも博士を1500回演じられる体力と気力を持ち合わせた“末吉”という役者がおります!」といわば無茶苦茶な事を言いました!
代理店の担当者は「わかりました。持ち帰って検討します」と言ってくれました。

 本当の事を言うと焦っていたんです。このままダメにしてしまってはいけない!
 少しでも劇座の役者が演じられるようにしなければいけないと思っていました。

その強い勝手な気持ちが、本人の了解も得ず「末吉にやらせて」と言ってしまったのです。これに関しては末吉さんに申し訳ない気持ちでおります。ごめんなさい。。。

 
 またこの時期に「地産地消」という言葉を知りました。
地元で生産して地元で消費するとい意味だそうです。この言葉が「万博」に当てはまるとは思いませんが、
折角愛知でやるのだから地元の役者を使って欲しいと強く感じましたね。

結局この1500回の案は無くなりました。
このことについてはボスに大変に感謝しています。

 そして次に出てきた案が「一人1000回を3人作る」です。
ん〜まあこれなら受け入れられるかも・・・と思いました。

 さて年を明けて1月11日に最初の記者発表会を愛知県館ですることになりました。
まだこの段階では一人1000回講演は具体的に発表出来る状態ではないので、
取り敢えず「地球タイヘン大講演会」を上演していく記者発表会となります。

座長の天野に博士の格好をしてもらい、演出家から「何でもいいから博士らしい事を言ってください」と言われて天野博士は困っていました。一人楽屋でブツブツと台詞の練習をしておりました〜笑〜。
あきらかに少し緊張している様子でしたので僕はそっとしておこうと思い側には近寄りませんでした。

さて記者会見です。
「それでは江古野博士の登場です!」下手の小さな迫り穴から登場した天野博士はいきなりエンジン全開に「今、地球は大変な事になっておるんじゃあ〜!」と怒り始めます。
これに驚いたのは誰であろう演出家でした。「そうですその感じ(怒り)が欲しいのです!」
気を良くした演出家は「天野博士に全部演じてもらいた!」とぶちまけたのです。

僕は思いましたよ「やっぱり殺す気かな」って〜笑〜。

つづく