報酬が1割カット。厳しい条件を叩きつけられたのは暫くしてからです。
即座に「NO!」の返事を返しました。
まだこの段階では1日23ステージで4000回を越える回数をこなす予定でした。だから「無茶を言うなよ」と思いましたよ。少ない報酬、そして開幕してからの交通の手段とか弁当とか問題は山積みになっていましたが、何一つ返事がもらえず、いったい協会はどうしたいんだろう?という疑問ばかり思う日々でした。そしてこれは・・・ひょっとしたら過酷な仕事内容になるかもしれないと徐々に感じ始めた頃にカットの打診でしたので正直、参りました。
この時に「万博の仕事はお断りしましょうか?」と座長と話した事があります。
ただし「お断りしましょうかあ〜?」と本当に話しあった事はこの1回だけではありませんでした〜笑〜。
やがてカット無し、ただし衣裳とカツラは劇座で払って欲しいと連絡がありました。仕方がなかったので受け入れる事にしました。
どんどん少なくなるギャラに「こんな事でいいのだろうか?」と思い、このころはチョット胸が痛かったです。ところが「衣裳はこちらで払います」との連絡があり「良かったあ〜!助かりましたありがとうございます!」と喜んで電話を切ったものの・・・「?」。払うんだったらどうしてカツラも払ってくれないのかしら?と思いましたよ。そしたらやっぱり・・・カツラ代が高かったのです。高い方を押しつけられたと悔やんでも後の祭り。も〜う、早速カツラ屋さんと値段交渉開始です。最後は折り合いをつけてくださって、これは本当に助かりました。
実は他のパビリオンの報酬の額をちょこっと調べたり聞いたりしてみましたが、、、他に比べて「タイヘン」は少なかったように感じます。なにか他のパビリオンで名古屋の役者やタレントは安いという触れ込みがあったらしく・・・われわれもそう思われているのかな〜と思いましたね。。。
この地方はもう随分前からわれわれの価値が安く見られていますから、もっと地元のマスコミなんかは積極的に活動をして、もっと盛り上げてもらいたいですね(って自分も動けよ!ってね〜笑〜)。
さて博士の稽古は順調に進んでいきました。演出家の合格点ももらえるようになり「この役者は最初の方で使って欲しい」とか「試運転を重ねて夏前にデビューさせよう」とかなんて具体的な要望も出始めました。これを受けて僕も代理店側と相談をしながらローテ-ションを作り出します。
ところが年末に向けて「インパクトが欲しい」と言い始め、雲行きが怪しくなり始めました。
「えっ・・・なんですかそれは?」「やっぱりね〜目玉が欲しいんだ!」「目玉?」
トヨタ等の企業館、日本館や大地の塔に負けるもんか!」
この辺が解るような解らないようなと言う感じです。
「万博のパビリオンって勝ち負けの問題なの?」なんかヤバ〜って思いました。
「愛知県館も劇座も薄いんだよね〜あっはっは!」だって。
はっきり言って「こいつ(演出家)失礼なヤツやな」と正直に思いました。
あまり良い印象はなかったですね。
で、この後に代理店側からまた飛んでもない相談を持ちかけられる事になります。
つづく。