役立たず。

先日二日間、コンクールの舞台監督(進行)をしてまいりました。
 「名古屋国際音楽コンクール」というものでして今回で3回目になります。
ヴァイオリン26名、ピアノ50名の中からファイナルに進めるのはたったの7名。
約10分〜15分の持ち時間の中でみんなが全てのものをぶつけて表現してきます。
 クラシックコンクールは沢山あります。音楽家にとってコンクールで賞を獲ることはとても重要な事です。プロフィールに「どこどこのコンクール第○位」と入る事は実績も名誉も伴いますからね。
 さて今回の舞台監督ですが、これまた大変な仕事でした。
まず「ただいまから第3回〜・・・」というガケアナを言って、出場者の確認をします。
すぐ舞台に出て出場者の番号札をセッティングします。そして出場者を舞台に送りだします。
演奏のタイムを計り、次の出場者に出番までの時間を伝え気持ちの準備をさせます。
と同時に次の次の出場者の確認をします。この時に出場者がいないと大変なんです。
みんなで劇場内を探し回ります。なにせ時間に間に合わないと失格なんです。
失格者を出したくない僕は必死です。
また今回は外国人もいました。
ロシアの女性ピアニストは緊張からでしょうか、目がつり上がっていましてね、
「なんでこいつにニラまれないかんのかなあ〜」と思いましたよ(泣)。
しかし美人な女性でしたねえ〜抜群に上手くてファイナルに残りました。
舞台の袖に待機している出場者の中にはコンクール慣れをしていて笑顔の人もいますが、
だいたいの人は顔が強ばっていますね。

 中にはチョー緊張している人もいます。
18歳の東京から来た可愛らしい女の子は、出る直前に着ていたドレスの背中の紐がゆるんでいることに気がつきました。そこで僕に「すいません、紐を結んでください!」と言って背中を向けてきました。見ると背中がパックリと空いたドレスです。綺麗な背中にドキッとしながら・・・。

  ・・・これは誘惑してるのかしら?
  舞台の袖は薄暗いし“お願い抱きしめて! 間違いを起こして!”と誘っているの?

なあ〜んて思いながら、そばにいた女性スタッフに頼みました(笑)。
しかし、出の直前に着ていたカーディガンを「持っていてください!」と僕に渡してきました。
これからはもう少し余裕を持ってくださいよ!

えっ、彼女ですか? 審査員の先生方は可愛いからと言ってファイナルに残すことはないみたいです。

さてこのバタバタの最中にどこからともなく・・・いや、携帯から神の…声が。
いろいろとお叱りと苦情をうけました。
日頃から「肝心な時にいない」とか「役に立たない」とか言われる僕は「申しわけありません」と
携帯で話ながら頭を下げることに・・・。
本当にご迷惑をおかけいたします。

 最後は自分よりも年下の舞台スタッフに「ありがとうございました」と深々と頭を下げてきました。

だけど俺・・・昔、言われたんですよね。

“ペコペコバッタ”って。中味がないらしいです。

この事に付きましても重ね重ねお詫びを申しあげます。だからと言って最後になんですが、
僕のモットーは「実るほど頭を垂れる稲穂かな?」でした。

m(_ _)m