長い。

マンションを出かける時には、部屋の玄関を出て、
302号と301号の部屋の前を通らないと階段や
エレベーターに行けない。
以前、301号には家族が住んでいたが、
引っ越して空き部屋になっていた。
その301号室に老夫婦が引っ越して来て暫く経つ。
この老夫婦。おじいさんは一回も見たことがないのだが、
お婆さんにはたまに会う。
会えば一応、挨拶を交わす。
が、このお婆さんがとても話し好きか?
捕まって話し出したら終わらないから困る(苦笑)
同じ階に住む住民の事が気になるのか、
以前はやたらと家族構成を聞いてきた。
さてそんなお婆さんが、真夜中に懐中電灯を持って
廊下を行ったり来たりとしていたから驚いた。
「何をしているのですか?」と訪ねたら、
どうやら「コンコン」と木で物を叩く音が
響いてお爺さんが寝られなくて困っていると
しゃべり出した。
そこで上の階か、若しくは隣の302号が怪しいと
様子を見に廊下に出て来たみたいだ。
しかしウチの部屋ではそのような音は聞こえない。
そこでもっと詳しく話を聞いたら、
時折、お母さんが子どもを叱る声が聞こえると言う。
302号室は外人さんが住んでいるが子どもはいない。
では、上の階の401号の音ではないかと僕が言うと。
「あんたはさっきまで、何をしてたの?」と
まるで俺を疑う口調で聞いてきた。
「はあ!?」と思ったが、正直に「パソコンで仕事
をしていましたよ」と言ったら、
「あっ、その音が聞こえとったんだわ」と
言ってきてきたのでビックリした。
「そんなパソコンを打つ音が301号室まで聞こえるはずがないだろう!!!」と言って返したら、
「パソコンを打つときに木で叩いたような音しない?」と言ってくる始末。
少し頭にきたので「するか!」と返したら、
「やっぱり上の階かしら?だって木で叩いた音がするのよ」とまた振り出しに話が戻った。
「じゃや上じゃん!どう考えても上の階の生活音しかない。」と僕が言うか言わないうちにお婆さんは、
「お爺さんが朝5時に起きて仕事に行くのにぃ〜」
とブツブツと呟いて部屋の中に入っていった。


お爺さんは新聞配達でもしているのだろうか?


それにしても、
お婆さんはまるで不条理な芝居の登場人物のようだった。
マンションの廊下で芝居が創れそうな感じだ(笑)