父が・・・・・・・・。

「昨日からお父さんが入院したんだわ」
母親の電話から僕の心臓の鼓動が早くなる。
「えっ、どうしたの?」
「ちょっと風邪で熱が下がらなくて、肺炎の手前なの。それで一応入院してるの」
以前は近くに住んでいたので、体調を崩して寝込んでいると聞いても、直ぐに駆けつける事が出来る余裕(?)なのか、妹夫婦も近所に住んでいるから割と安心してした。
ところが松本に親が引っ越ししてから不思議と親の存在が強くなる。
直ぐに駆けつけることの出来ないジレンマなのか?
皮肉なものだ。
「で、どういう状態なの?」僕が聞く。
「全然、大丈夫なんだけど・・・一応点滴を打ってるの。まぁ〜病院にいれば安心だからね」
「で、お母さんは?」
「私が大変よ、お父さんの代わりにずっと仕事してるから。でも大丈夫よ2〜3日入院すればお父さんは良くなるから」離れている距離が遠くなるとこうも辛く感じるのか?
親もいつまでも若くはない・・・。
松本に引っ越して環境も変わった。まして松本の寒さも堪えたのだろう。
ここらで疲れが吹き出したのかもしれない。
一瞬、頭の中で「僕は父や母に何をしてきただろうか?親孝行は出来ているのだろうか?」
と考えてしまった。。。
ふと、妻の事が頭に浮かぶ。
妻は両親を選ぶのか?それとも僕を選ぶのか?状況にもよるだろうがきっと親を選ぶだろう。
そう僕とはやっぱり他人だ。僕はそれでいいと思う。僕の事はいつでも捨ててくれてもいい!
なんだったら交尾の後にオスを食べてしまうカマキリの様に僕を食べてくれてもいい。
いや・・・これはやっぱり困るし、嫌だなぁ(笑)。
妹たちに“父の入院”を知らせる。「スワッ!何事だ?」直ぐに母親に電話を入れたみたいだ。
暫くして・・・母親から電話が入った。
「あんた本当に大した事じゃないから心配しなくてもいいの!もう〜一彦には余計な事が言えないわ」
〜親の体調の心配をして何が悪いんだ!〜
「お父さんもやっぱり体力は落ちてきてるけど、でも大事をとって点滴を打つために入院したの!病院だと寝とれるし、食事もでるし・・・・」
〜なぬ?体力が落ちてる?余計に心配になるわ、そんな事を聞いたら〜
「もう電話しないからね!」
〜なんちゅう母親だ!〜
「退院したら電話するわ・・・・(ガチャ)」と切れた。


 僕もチチやハハに贈る作品を創ってみたい。
 ・・・・こっそりと。
 いつか。