台本を見るひとたち。

家に帰るために地下鉄に乗り込みます。
帰り時間はちょうど帰宅ラッシュだったのでサラリーマンで一杯。
僕はこのところ指定管理者制度に関する情報が何か載っていないかと思って朝刊と夕刊を買いあさっております。その新聞を広げられるスペースを確保する為に僕は車両の奥へとグイグイと進んで行きました。
僕は早速新聞を広げて読んでいました。さて、一面を読み終えて新聞をたたみ直していた時です。
目の前に座っている女性がA4サイズを横にした資料を読んでいたんです。
それも割とこっそりと。しかも隣の人に覗きこまれないように隠しながらです。
しかし僕には彼女が手にして書類が透けて見えていました。それは紛れもなく台本です。
会社が終わってこれから稽古に向かうのかもしれません。彼女は池下で降りて行きました。
どこの劇団の人なんでしょうかね?
以前は桜通線で台本を見ている男の子を見かけました。僕は偶然にも斜め真向かいに座ったのです。
その子は堂々と台本を開き、しかも自分の台詞でしょうか?ブツブツと言いながら繰り返していました。
しかも自分の言う台詞の色分けまでしてある事まで透けて見えました(笑)。

 あれは確か去年の10月下旬の頃です。僕は高蔵寺まで芝居の稽古に毎週出かけていました。
JRに乗って行っていたのですが、同じ車両にこれまた台本らしき物を手にした二人組の女の子を見つけました。
彼女たちは、アーデモナイ、コーデモナイと熱く語りあっております。
断片的に聞こえてくる会話を聞いておりますと、どこかの養成所か、もしくは専門学校の子らしいです。
しかも彼女たちの発表会が近い事もわかりました。そして段々と彼女たちの語りは熱くなります。
同じ高蔵寺で降りた彼女たちは「ちょっとここで練習しない?」と声を掛け合い、ホームのベンチに座り本読みを始めました。秋風が冷たくなり出した頃です。「ここで?」と僕は思いましたが、彼女たちの情熱は寒さなんか感じないのでしょう。

 こういう光景を見るたびに「ねえ君たちうちの塾に来ない?」なんて思います。