メロンパンマン

いまから10年程前であろうか。
あれは僕が稽古場で芝居が上手くいかず、
食欲もなく凹んでいたときである。
それでも何か口にしないとダメだと思い、
コンビニに軽い程度の物を探していたときに
目がついた。
何気なく買って食べてみると、見た目とは違い、
ふっくらとした中身に、胃の収まり具合も良い。
それ以来、度々買っては食べるようになった。
それがメロンパンだった。
最近ではチョコチップも入って美味しさを増す。
稽古場の片隅でチビチビとメロンパンを食べている
姿は、さぞ情けない事であろう（笑）。

　稽古中は僕は殆ど飯を食べない。
　休憩中でも口にするのはメロンパンなどの類である。

僕は台詞を言うときに胃の中に物が入っていると重くて
嫌だからだ。
ただそれだけの単純な理由だからなのだが、この習慣が
今ではついてしまい、スタッフとして入っているときも
殆ど口にしないようになった。
それは食事休憩になってもである。

　流石に本番の時には、少しだけ食べるようにはしている。
そうでないと体力が持たないからだ。
いつも逆算をして本番の２〜３時間前におにぎりを１〜２個。
もしくはお弁当を半分だけ食べて本番に備える。

　ただ唯一、バカ食いするときがある。
　何でもない転換要員などプレッシャーを受けない舞台だけ、
出された弁当を奇麗にたいらげる。

　この時の自分は「なんて人間なんだ俺は」といつも感じている（笑）